フリーランス音楽家の徒然日記

茅ヶ崎市↔︎国分寺市のフルート教師

フルート教室を開業してから7年

 色々な事がありましたが、気付けば開業してから7年が経ち、今年で8年目になりました。フリーランスの音楽家の方々全員が個人事業主では無いと思いますが、私は個人事業主になって良かったなと思っています。まだまだこれから収益を増やして行かなければならないプチ個人事業主ですが、フリーの方には是非開業する事をオススメします。

 この記事では私が思う、フリーランス楽家個人事業主になるメリットをご紹介します。

1. 65万円の所得控除がある

 個人事業主として開業すると、確定申告の際の申告方法について決めることになります。それが白色申告と青色申告です。白色申告には殆どメリットが無いので、青色申告一択です。青色申告にも、10万円所得控除のものと65万円所得控除のものの2種類があり、出来れば65万円控除の方で申告できると良いです。複式簿記という方法で帳簿をつけてe-taxで確定申告をすると、年間の所得から65万円控除されるというものです。

 青色申告65万円控除を獲得するには勿論色々と条件がありますが、それはまた別の記事に書くことにします。

2. 楽器に関わるお金は一通り経費にできる

 楽器の購入代、メンテナンス費、衣装代、交通費、通信費(携帯電話などをプライベートと分けていない場合は事業分のみ)、家賃や光熱費(事業に使用するスペース分のみ)などなど、あらゆるものが経費になる可能性があります。ただし、経費として計上しても税務署が認めてくれなければ経費にはなりませんので、インターネットの情報や書籍などを参考に、経費になるかどうか調べながら計上しています。経費にする事ができれば、収入から差し引いて課税所得を抑える事が出来るので、少しの出費でもしっかり帳簿につけていきます。

 例えば、仕事と仕事の間に時間が出来てしまい、やむを得ず喫茶店などで時間を調整した場合の飲食代なども、経費として認められる可能性が高いそうです。ただしあまりに高頻度だったり高額ですと怪しまれるかもしれませんのでご注意を。コンサートに行ったり、楽譜を買ったり、合わせでスタジオを借りたり、音楽に関わる出費はほぼ経費です。

 また、給与として頂いた謝礼が交通費込みだった場合、移動にかかった電車賃などは自力で経費にするしかありません。その際にも帳簿につける事で経費に計上できます。

3. iDeCoで資産形成ができる

 iDeCoに関しては、「出来る」というより「出来ればした方が良い」というもので、基本的には任意加入です。iDeCoは「個人型確定拠出年金」と言われるものです。簡単に言うと投資信託で積み立てをして、60歳になると老後資金として引き出すことが出来るというものです。個人事業主国民年金にしか加入出来ず、退職金も無いため、将来のお金については自分でどうにかしていく必要があります。会社員もiDeCoに加入出来ますが月に23,000円までしか積み立て出来ない一方、個人事業主は月に68,000円まで積み立てが可能です。大きいメリットは掛金が全額所得控除になる点(私はこれに加えて小規模企業共済にも入っています)。以下のリンクでシミュレーションが出来るので、どれくらい税制優遇があるか調べてみましょう。

www.ideco-koushiki.jp

 ちなみに国民年金を払う事を嫌う方もいらっしゃると思いますが(私もかつて未納がありました・・・)、年金納入分も所得控除になります。満額払うのが嫌なので、私は前納にして少しでも安くしようとしています。将来の受取額に不安はありますが、今のところ納めておいた方が良いと判断しています。

4. 公的な給付金の申請が出来る

 これは新型コロナウイルスの影響下で、フリーランス楽家の明暗が大きく分かれた部分だと思います。私は個人事業主ですが現在は非常勤の教員もしていますので、一時期レッスンが完全に止まっても、教員の月給が入った為かなり救われました。また、持続化給付金や月次支援金など、政府や自治体の支援金を受け取る事が出来たので、日々の生活を続けながら貯蓄や投資を止めずに済みました。これらの給付金や支援金は、個人事業主として確定申告をしている事が絶対条件、また帳簿書類をきちんと管理している必要があります。またこのような不測の事態が起きた時の為にも、課税や帳簿を嫌がらずに、個人事業主として確定申告をすべきです。

5. 所得税を払うどころか還付されることも

 私は給与所得もあるので、正確には「給与所得者兼個人事業主」です。給与所得は既に源泉徴収所得税が引かれています。事業規模や売上高にもよりますが、国民年金保険料やiDeCoの掛金、コツコツ積んだ事業経費、一般保険会社の保険料、さらに65万円の所得控除により、事業収入はかなり抑えられます。すると案外所得が低くなり、私の場合は源泉徴収で引かれていた税金が返ってきたりします。アルバイトなどで給与所得を得ている方は、年末が近づくと「年末調整」の書類をもらうと思います。その際に、私の場合は「個人事業主でもあるので確定申告は自分でします」とお伝えしています。

 

 

 以上、私が思う個人事業主のメリットを書いてみました。特に、音楽活動に関わる経費に関してはグレーゾーンなので(プライベートと仕事の線引きが難しい)、私は迷ったら計上しています。自分の演奏スキルや指導スキル向上に役立つ出費ならば、経費と言えるはずです。これは経費ではないのでは?と指摘されたら修正すれば良いだけのことです(勿論不正はいけません)。帳簿をつけながら上手に所得を抑えて、個人事業主として日々邁進しています。